2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「医師中心の医療」から「患者安全の医療」への移行

5月に参加したInternational Symposium on Rapid Response Systems and Medical Emergency Teamsがすごく盛り上がっていたのは、RRS/METを導入している病院とその医療者たちが、RRS/METを導入するということは「患者中心の医療」を実践するということであり…

なぜ走ってきたのか

この2-3年、エンジン全開で、ギアアップを繰り返してきました。今年の前半はとりあえずのゴールが見えたような気がしています。その実感を支えているのは以下の認識です。 ・医学情報を教えることを医学教育と呼んでいた時代は終わったこと。 ・情報の学習は…

SimEXPO2009のお知らせ

SimEXPO2009 プログラム紹介期間:2009年11月26,27日、11月25日プレSimEXPOセミナー 会場:日本橋プラザ(東京・日本橋) http://www.nihonbashiplaza.co.jp/plaza_build.html2009年11月25日 プレSimEXPOセミナー「患者急変対応コース for Nurses」ファシリ…

基本的なnon-technical skillsのトレーニングに続くもの

BLS,ICLS,ACLS,PALSはtechnical skillsのトレーニングプログラムです。 「患者急変対応コース」はnon-technical skillsの基本トレーニングプログラムです。これらのファシリテーションが可能になれば、相当凝ったシミュレーションが可能になります。コンテキ…

「患者安全」霧島セミナー2010・・・プラン

鹿児島で、「霧島でセミナーなんていいね」という話をし、プランニングに入る予定、です。患者急変対応コース、ファシリテーターセミナー、看護シミュレーションなど、メニューを組み合わせ、魅力的なセミナーが開催できるといいですね。いい気持になって、…

救急救命士を対象とした気管挿管再教育

埼玉県東部地域メディカルコントロール協議会では、救命士の気管挿管再実習としてシミュレーション訓練を取り入れています。これも協調学習。シナリオとデブリーフィングによりクリティカルシンキング能力を向上します。今年はアナフィラキシーショックに対…

初ファシリテーション

今日は「患者急変対応コース」のプロバイダーコース。 昨日ファシリテーターコースを受講した方が初ファシリテーション。「教えることが最大の学習」を実践しました。このコースは協調学習を取り入れているので、ディスカッションをいかに盛り上げるかがポイ…

鹿児島「患者急変対応コース」ファシリテーターコース

昨日は鹿児島市立病院内で「患者急変対応コース for Nurses」のプロバイダーコース+ファシリテーターコースを開催。急変対応に必要な暗黙知を形式知として学習し、それを実践訓練で暗黙知化するというコンセプトのコースです。感覚を活用し、「何か変?」を…

直感が働かなければ何も始まらない

「何か変だな?」」と思わなければ患者急変対応はできません。 でもこれは急変に限りません。 患者、家族の様子を見て、何か変だな?と思える直感力がなければファーストエイド・医療は始まりません。この「何か変だな?」と思える直感とそれに引き続く行動…

生きることと哲学

これは藤田正勝「西田幾多郎」(岩波新書)のサブタイトルです。西田幾多郎のオリジナルは読んだ覚えがありませんが、この解説書は優れていると思いました。オリジナルは読まなくても、経緯・時代背景とともに西田哲学がわかったような気になれます。僕が西…

医療学習Ba-R

西田幾多郎の解説書(岩波新書)を読み進んでいますが、やっと「場所」まできました。 うーん、なるほど 、とは思いますが、すでにその発展した姿である「知識」(野中郁次郎)を知っていると、 「そうだったんだー」という感じです。確かに「場所」ってあり…

「認知心理学から学習を考える」

これは6月に参加したセミナーのタイトルです。 http://hrdm.jp/forum2009/rep20090620/index.html このセミナーで青山先生を知り、11月のラウンドテーブルをお願いした次第。認知心理学の領域では個人の頭の中で生じるプロセスと、外的環境の関係は相当分か…

「医療学習システム」ラウンドテーブルのご案内

「医療学習システム」の構築に関するラウンドテーブル・ディスカッション・ご案内 (詳細はhttp://www.simclub.jp/からPDF fileをdownloadしてください・本日午後以降) 患者安全を最優先にする医療者の養成することが急務となっています。 それにはこれまで…

「患者安全トレーニングプログラム」

患者安全をトータルに実現する 「患者安全トレーニングプログラム」 お知らせ 日本医療教授システム学会は京都科学の協力を得て、京都科学MEMトレーニングセンターにおいて「患者安全トレーニングプログラム」を展開いたします。1. 「患者安全トレーニング…

シミュレーションには2つのカテゴリーがある、ということ

昨日から読んでいる論文を、今朝の電車の中で読み続けていたところ「シミュレーションには2つのカテゴリーがある」ことに気がつきました。 この論文はIkujiro Nonaka, Noboru Konno "The concept of "Ba": building a foundation for knowledge creation" Ca…

ランプから電灯へ・EuSimインストラクターコース

今年の1月、IMSHでTubingen Center for Patient Safety and Simulation (TuPASS)のMarcus Rallが以下のように語っていました。 「シミュレーションはエジソンの電球のようだ。ランプから電灯への移行はあっという間だろう」。「うーん、そうだろうなー」「…

国語伝統・・・小林秀雄

岡潔、小林秀雄の対話「人間の建設」の最後に、 「・・・国語伝統というものはひとつの「すがた」だということで、文学者には常識です。この常識の内容は愛情なのです。福田(福田恆存)君は愛情から出発しているのです。ところが国語審議会の精神は、その名…

OSCEだけでは不足

客観的臨床能力試験 (Objective Structured Clinical Examination)だけでは、医療者としての適性・能力を評価・担保できません。 なぜならOSCEではnon-technical skills (NTS)を評価・担保できないから。英国ではNTSは患者安全の基本スキルとみなされるよう…

「患者安全トレーニングプログラム」

患者安全を実現するには、医療者のトータルなトレーニングが必要になります。 トレーナーのトレーニングも必要になります。現状で利用可能なリソースをすべて組み合わせた「プログラム」を考え中。 9月24日にはこのブログにアップしたいと思います。

「患者急変対応コース for Nurses」の目的

このコースの真の目的は、日常の医療パフォーマンスを意識的に向上する方法論を示すことにあると考えています。この考えには「いま」「ここで」といった教育学的なコンセプトと、「知識マネジメント」の両者が含まれています。このコースを看護師さんが歓迎…

ファーストエイド、日本に欠けているもの

「ファーストエイド」は、救急車が来るまで(救命士がくるまで)に市民が行う応急手当のこと。 今作業しているのはファーストエイドに関するエビデンスを集め、整理し、まとめることですが、実はそれほど文献はありません。というか、ない。手を蛇にかまれた…

面白い!

First AidのCoSTR作成も真剣味がぐっと増してきました。 リーダーの意気込み、というか「まとめなきゃ」という意思が伝わってきます。 12月にもう一度science advisory boardを開く予定ですが、来年2月からはガイドラインの執筆がスタートする予定です。ドロ…

Educationをどうするか?

今日は、一般市民がファーストエイドを学習する最適な方法についてのディスカッションがありました。文献的なレビューと、その総括についてのディスカッション。 これは最高に盛り上がりました。その意味は、学習・教育について、個人的な教育論を述べるので…

ILCORのCoSTRとは何か・・・ 日本の知性が教えてくれました

ILCORのCoSTRは多くのグループによる無数のディスカッションをもとに成立しています。 CoSTRとは何か? それは真実ではありません。 その時点における事実を検証し、そこから知的に矛盾がない形式知(記述)を抽出したもの、それがCoSTRです。岡潔、小林秀雄…

文献のまとめ方

現在、ChicagoのO'Hare空港の中にあるヒルトンホテルで、文献と悪戦苦闘中です。 AHAとARCがスポンサーをしているFirst Aid Science Advisory Boardのディスカッション、C2010の準備、です。 僕の担当は打撲・捻挫で冷却は有効か?有効であればその方法は?…

オンラインラーニング

東大・中原 淳先生のブログに、オンラインラーニングに関する引用があります。以下をご覧ください。 http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/08/ オリジナルはこちらです。 http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2009/08/post_182.htmleラーニングによる事前…

勝手気ままに教えていいのか・・・

Google readerはiPhone、産経新聞はBlackberryで読んでいます。 科学・医学の情報もTwitterから発信される時代になり、情報コンピテンシーが学習の方法に大きな影響を与える時代になった「いま」を感じさせます。http://sankei.jp.msn.com/politics/situatio…

Not all training equal, or effective

http://www.youtube.com/watch?v=jV6g427UMxY&feature=player_embeddedShoulder dystociaへの対応としてシミュレーション訓練を行ったデータの発表がありました(SimTect2009)。 その結果、 BristolではBPI(brachial plexus injuries)の発生率が70%減少…

ヘッドライン「病院から無事に退院!」

(SimTect2009の一こま・ジョークです・・・)

ファシリテーターの立ち位置

教室で行う授業は先生と生徒が向き合います。シミュレーションのファシリテーターは学習者の横に寄り添います。この立ち位置、結構、意味深です。物理的な学習環境を、向き合うセッティング(いわゆるスクール形式)にしてしまうとどうしても「教師−生徒」の…